判決後の報告と新たな決意

大田区の移動介護32時間上限の闘いに、これ迄多くの皆さんが応援して下さり、本当に感謝しています。

2004年4月に32時間を上限とする要綱を、大田区の障害者に押し付け、支給量を強制的に削減した大田区の処分は、「違法」と裁判で判決されて既に半年以上になります。

この間全国でも同様の介護支給量削減や、上限規制が大田区に続けとばかりに拡がっています。

今年4月13日には、全国130以上の障害者団体の賛同のもと、多くの皆さんの結集を得て、大田区役所包囲行動を取り組みました。<ここに改めて、御賛同頂いた皆様及び、お忙しい中御結集頂いた皆様に心より厚くお礼申し上げます。ありがとうございました。

その後の4月末には支給量削減処分の責任者である西野区長が私達の前に一度も姿を現すことなく引退を余儀なくされ、消えました。

新区長のもとで、解決への期待は高まりました。が、現在(6月20日)に至るも、私、鈴木敬治の本来の移動介護支給量は認められることはなく、回復は果たされておりません。ここで、改めて、皆さんにこの間の経緯と、私の新たな決意を明らかにしたいと思います。

まず、裁判(昨年11月29日に判決)後の経過報告を簡単におこないます。

昨年12月28日に、要綱が32時間上限から32時間を標準にすると変更される予定であることを、マスコミ報道によって知りました。

そして今年1月1日付けで大田区はついに要綱を改めました。

後の1月12日には役所から、私の移動介護の支給量が90時間に決定したと通知が届きました。この決定は、行政が勝手に決めたもので、私は納得しませんでした。そもそも支給量の変更は、利用者の申請があって初めてなされるものですが、私はその時点では申請は出していません。しかも90時間の決定で誤魔化そうとは、何ともお粗末で情けないばかりです。

なので私は、1月〜3月上旬の間に、この勝手な決定がどんな根拠でなされたのか、また、私は124時間に戻してほしいのだということで話し合いをおこなってきました。そして3月中旬には、移動介護量が減らされる前の124時間に戻すよう変更申請を提出しました。

所管センターだけでは判断できないために、3月27日か28日に本庁の障害福祉課長と各センター(東、西、南、北)の地域福祉課長との間で、調整会議がもたれました。このとき私はできる限りの資料を提出しています。その会議で、私の支給量を決定するための話し合いがもたれたと聞いています。

本来、法律では、申請があってから1ヵ月以内に支給決定がなされなければなりません。

しかし、4月に新支給決定は出ませんでした。それは、役所の人事異動でことごとく担当者が入れ替わってしまい、ふりだしにもどってしまったからでした。

その後、何回も調整会議が開かれ、私は足りない資料を提出したり、聞きとりに何度も応じました。そのさい私は、非常にプライベートなことまでこと細かく話しました。

が、本当はこんなことはしたくありませんでした。なぜなら、ここには新たな問題が発生しているからです。それは、改められた新要綱のもとで、くどい位に、移動の状況を示す資料の提出を求められ、又、社会参加の状況を役所が調査するという前代未聞の事が行われ出したからなのです。

これについて大田区は「公費による移動の保障が、ふさわしいものであるか否かを判断しなければならないから」だと正当化しています。ですが、私は、行政が今度こそ本気でこの問題に取り組んでいると信じて、あえて協力しました。

北センターの課長からは、あなたの問題はきわめて重要で大きな問題であり、区内の障害者に大きな影響を与えるので慎重に判断しなければならないと聞き、決定延期を我慢しながら今の今まで待っている状態が続いています。

北センターの課長は6月にはいり心労のために倒れ長期療養を余儀なくされてしまい、北センター長が自らこの問題に乗り出しています。なぜここまで支給決定が遅れているのか説明を求めても答えようとしません。新しい要綱のもとでの申請は私が最初のケースでした。

その後、区内の障害者の何人かが申請をし、32時間を越える決定がおりたと6月18日本庁で聞かされました。しかし、私に関してはいつまで決定がのばされるのか、まったく見当がつかないのが実情です。これでは行政サービスの公平さに疑問をいだかざるをえません。

 ここまでが判決以降現在(6月20日)迄のおおまかな流れです。

 以上の状況のもとで、現在、私が大田区に求めている内容を整理すると次の諸点になります。
    (1) 3月14日付で私が提出した変更申請に関して、区側が新支給決定を長期間とどこおらせている理由をきちんと明らかにし、説明責任をはたしてください。
    (2) 私の移動介護支給量をもとの水準である124時間、さらに旧日常支援に含まれていた通院分23時間をあわせると、現行の自立支援法のもとでは147時間になるという新支給決定をただちにおこなってください。
 私の移動をめぐる問題の解決は、私だけの問題ではなく大田区に住む2万人の障害者の暮らしにもつながっているものです。そして全国の障害者の権利にもつながっていると考えています。重要な点は、一人一人の必要量に応じた支給量が認められることにあります。

要綱の32時間は、表現のうえで「標準」と変えられたものの、じっさいには上限のなくなった今でも、32時間の文言に苦しめられている人がほとんどです。「32時間」という表現そのものが、もはや廃止されるべきであり、そもそも要綱とか基準等というもので障害者の生活を切り刻む様なやり方そのものが誤りなのです。さらに言えば、障害者について重要な政策を決めるときは、障害者当事者の声をきちんと聞き、特に若い世代が自由に意見を言える場をつくっていくことが大変重要であると私は考えています。

2007年6月20日

鈴木敬治



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