証人岩田美惠子証言 要約


被告主尋問
:32時間となったその理由
:重度視覚障害者ガイドヘルパー派遣事業の実績を見ますと、32時間以内の方が83パーセントでした

:ほかに最終的に32時間となった理由
:外出を、障害を持っていない方と同じような状況で支援するということを考えたときに、外出に関しても一般の社会人の一週間の日常生活を基本に考えることが必要ではないか。
通勤、営業活動等経済活動に関しましては、平日はこうした活動に充てる、また、余暇活動等の社会参加については土日の2日間のいずれかこうした活動に充てられるということが一般的にございますので、社会通念上、区民生活にとっては余暇活動の標準的な時間として1週間当たり8時間程度が相当であると判断し、1か月4回の32時間と考えました。

:月32時間を上回る必要がある場合はどう対応するんですか
3号で特段の事情により区長が必要と認める場合、必要時間数を算定します。

:そうすると、月32時間というのは上限ではないということになるんですか。
:はい。標準的な支給量でございます。


原告反対尋問
:今東京地裁に法廷に傍聴に来ている大田区在住の視覚障害の方、全身性障害者の方の移動介護は?
:社会参加になります

:原告の裁判所への出頭のための往復は
:社会参加でございます

:車いすの改修等のための外出は必要不可欠外出には当たらないという結論になりませんか
:はい、基本的にはそのとおりだと思います。

:リハビリテーションとして是非毎日散歩等行ったほうがいいねというアドバイスはあったけど、診断書がない場合。
:おそらく社会参加の外出になるものと思います。

:障害者の人が人権侵害を受けたとして、弁護士事務所に相談、依頼に外出する場合
:社会参加になります

:家に閉じこもりがちだから、気分のリフレッシュのために毎日散歩を2時間ほどしたいという障害者の人が外出する場合。
:基本的には社会参加

:移動介護はその上限として1か月32時間とされています。今回の決定がその要綱に基づくものかどうか説明してくださいという質問に対して、大田区長は繰り返し、移動介護要綱に基づくものですと回答しています。間違いないですね
:はい

:支援費支給量に対する制約があると、それはやむを得ない、そして、そのやむを得ない一定の制約の考え方としては、土日の休みの1日8時間程度が相当だからであると、その制約を正当化されたと、そういう理解で間違いないですね
:はい

:間違いないですね
:はい

:実際、3号によって全身性障害者に加算された事実はないですね
:全身性の方には今のところございません

:「今のところ」って、もう支援費制度実際終わってますけど、支援費制度が施行され、移動介護要綱が施行されていたその期間内にないですよね、一度も。
:ありません

:一回もないですよね
:ありません

:月32時間と要綱に規定した際、参考としたデータは重度視覚障害者ガイドヘルパー派遣事業の実績だけであって、視覚障害者を除く身体障害者や知的障害者の外出実態に関しては一切参照していないという事実関係はよろしいわけですね
:はい

:「視覚障害者ガイドヘルパー派遣の利用実績が32時間の人が83パーセントを占めたこの利用実績について、他の障害者の移動介護にも十分適用できると判断しました。
重度の全身性障害者や自己判断の難しい知的障害者は、その置かれた状態から、視覚障害者の実績に比して、その外出自体が相当困難であると思われ、この平均時間を越えて外出することはないと考えたからです。」
まさにこの考えが移動介護要綱の制定した理由であるということで間違いないですね
:はい

:全身性障害者の人外出が相当困難である理由はなんですか
:重度の身体障害者、障害を持っておられるという観点から、屋外での外出はなかなかできない障害の方ではないかと思っております。

:そういう身体的な困難があるからこそ、そういう困難さを補助するために公的に外出を支援することが障害者福祉の役割、公的責任じゃないんですか
:全くそれを否定するものではありません。そういった支援は必要だと思います。

:そういった?
:そういった支援は必要だから、移動介護というサービスがあるのだと思います。

:移動介護要綱を制定するまで、8回以上の会合をもったということですが、その中で支援費を利用している障害者の区民から意見を聴く機会を設けましたか
:特に設けてございません

:平成16年7月1日午後大田区庁舎本庁舎内での交渉やりとりのテープ、録音です。この日、午後4時45分ごろ、岩田課長は東京都福祉局障害福祉部在宅福祉課長芦田真吾氏に電話をかけました。岩田課長がおっしゃったことです。
「大田区で移動介護について社会参加の部分32時間という上限を設定したんですけれども、それについて、支援費制度上は一律の上限を設けないということが伝えられてたと思うんですが、そこについて東京都のほうではどのようにお考えになってるんでしょうか?
『一律の上限はまずい』ということですね。」
「大田区要綱で、移動介護の社会参加部分で、32時間という上限を設定したことについて、東京都としてどのように考えるかというご質問をさせていただきました。個々の状況を聴き取らずに一律の上限設定をするのは好ましくないという言い方をされていました。」
こういうやり取りがあったことは間違いないですよね、事実として。
:やりとりはございました

:事実関係間違いないですね
:はい

:岩田課長がおっしゃる国に対して移動介護要綱について確認をし、適法であるという回答を得たという事実があるのかどうかということについて東京弁護士会会長は、弁護士法に基づいて照会をしました。
それに対する回答がこれです。
平成18年7月27日付けの厚生労働省の公式回答として、「そのようなやり取りに関してメモも存在せず、記憶も確かでなく、事実の存否を確認できない」と。
5回もそういうやり取りがあったと大田区側は主張しておりますが、厚生労働省は文書でそのような事実は全く確認できないという回答をしていますが、それでも本当にそういう回答をしたんだと、適法であるなんて、本当に厚生労働省は回答したんですか
:電話の都度記録してございますので、間違いありません。

:大田区議会健康福祉委員会平成17年5月13日記録、外崎障害福祉課長がサービス支給量の上限の制限は好ましくないという姿勢というのはその後変更したという話は聞いていませんと答弁されています。これは大田区の公式答弁ということで間違いないですね
:ただ、私は記憶が定かではありませんので。…公式記録なので間違いないと思います。

:平成13年3月6日障害福祉主管課長会議資料、これは厚生労働省のものです。外出介護の実施に当たっても利用目的を限定的にとらえることなく、個々の障害者の要望やその必要性を判断し、柔軟に対応するように市町村に助言指導願いたい。
余暇活動等社会参加のための外出時における移動介護にかかるサービスを提供する際においても同様であるので、御配慮願いたい。大田区が移動介護要綱を制定する際の議論の中で、この指示文書の趣旨を尊重しようと意見はなかったんですか?
:特にございません。

:平成16年10月12日付け大田区区議会健康福祉委員会記録、岩田課長が他区の状況について答弁されています。
要綱を定める区は当区を含めまして、2区。
また上限の有する区は大田区を含めまして10区ございまして、という区議会答弁は間違いありませんか
:はい

:要綱を定めている区は大田区唯一一つですよね。
それ以外に要綱を定めている区はありませんよね。何区ですか
:新宿区ですね

:新宿区支援費決定基準と書いてあるのであって、要綱じゃないですよ、これ。要綱ですか、これ
:内規という意味では同じ性格のものだと思います。

:じゃあ、新宿区にも支給上限があると言い張られるんですか
:新宿区は上限設定ではないと思います

:世田谷の取扱要綱 ウィークリープランの例示の中のI、J、こういう例示が1日2時間の例になっておって、それが世田谷区の移動介護2時間基準なんだというご主張になるわけですか
:事実上の上限と判断し得るというふうに考えました。

:私が直接世田谷区役所保健福祉部障害施策推進課にお尋ねしました。それに対して、世田谷区保健福祉分障害施策推進課長が直接公印入りで平成18年7月18日回答して来ました。
それによると、
質問1、この取り扱い要綱は、行政執務上の取扱要綱であり、区民を拘束する性質ではないですね、
回答1 そのとおり。
質問その2、別表1の標準モデルI、Jというのはプランの一例の例示に過ぎず、このプランに記載されたとおりに週、日ごとに区民が拘束される支給量上限が存在するわけではありませんね。
回答2 そのとおり。
このように2時間というのは上限ではないという趣旨の回答を世田谷区はちゃんとしてますが、それでもなおかつ大田区はこの世田谷区のプランにあった2時間というのは移動介護の2時間上限であるとご主張さるんですか、それとも、撤回されますか
:検討の過程の中で、世田谷区の上限設定について、特にそれによって大田区がどういうふうに判断したわけではございませんので、撤回する必要はないと思います。

:本件要綱それ自体は原被告間に何らの法律関係を生じさせるものではない、間違いないですね
:はい

:移動介護要綱6条2号の32時間規定及び6条3号特段の事情による加算規定について、原告の鈴木さんはかたくなにその適用を拒否してきたという事実関係に間違いないですね
:はい

:本件要綱は区民を法的に拘束するものではないということで間違いありませんね
:はい

:本件移動介護要綱助役決定は、行政内部通達の一種だということで間違いありませんね
:はい

:通達の適用をかたくなに拒絶して、身体障害者法福祉法に基づく支給を申請する区民に対して、その通達の適用を拒否するということを理由として支給を制限するということは可能ですか
:本来支援費制度は、本人の個々の状況を勘案して決定するものですから、その聴き取りに応じない以上、考え方としては支援費を支給しないということもあり得ると思います。大田区にはそのようには対応しておりません。

:移動介護要綱の検討会議が通算8回以上あったということですが、この検討会議の議事録は裁判所に証拠提出できますか
:議事録としては記述してございません

:大田区の法規担当職員から、法令の趣旨を踏まえれば、一律規定だけではこれに反する可能性があるという判断もありました。こういう大田区法規部のほうから指摘を受けたというのは間違いないですね
:はい

:特別加算について、大田視協の福祉活動団体としての救済策としての意味合いということですが、間違いないですよね
:はい

:大田区の障害者福祉に貢献している団体は、この団体以外にもいくつも存在してますね
:はい

:仮に組織救済という目的を大田区が感じたとおっしゃるんであれば、別立ての予算でその対策をするべきであって、個々の個人に支給されるべき支援費で支給してその組織を救済するというのは、明らかに法の目的を逸脱していると考えますが、違いますか
:そのようには考えてございません

:一般区民が8時間、平日、1日8時間5日間働いた、その残りの息抜きの週末の余暇に社会参加活動としての障害者の時間は合わさないという考え方というのは、身体障害者福祉法や障害者基本法の理念からしておかしくありませんか
:おかしいとは考えておりません

:オンブズマン勧告で、移動介護要綱ができる前の大田区においては、要綱には上限を設ける規定がないという勧告を受けたことから、上限要綱を作ったという論理関係にもあるということは間違いないですか
:そのようなことはございません

:16年10月12日大田区議会健康福祉委員会記録4ページ下から7行目、小泉地域福祉課長答弁です。
「オンブズマン勧告でございますが、私どもオンブズマン勧告を受けまして、勧告理由の中に、事業実施要綱取扱要綱には上限を設ける明確な根拠となる規定はなくという指摘がございまして、これを受けまして当事者及び納税者である区民の方に説明できるように今回の要綱を作成したということでございます」
ということで、オンブズマン勧告と移動介護要綱成立過程についての経過説明が答弁されていますが、この答弁は間違いありませんね
:基本的には間違いないと思います

:間違いないですよね
:が、私にはちょっと知り得ません

:あなた、このときだって一緒にいらっしゃったんじゃないですか。一緒に答弁されてますよ。すぐ上に岩田課長答弁されているように、一緒に聞かれてたじゃないですか。
知らないっていうふうに言える話ですか、これ。
あくまで大田区の公式答弁なわけだから、オンブズマン勧告で上限規定が大田区内の要綱にないという指摘を受けたために上限を設ける要綱を作成しようということになったという経緯は間違いないわけですね
:作成する過程の中で、オンブズマン勧告を参考にしたという経過はございません

:そうすると、この小泉課長の答弁というのは、間違った虚偽の答弁ということになりませんか
:ちょっとそこは、虚偽になるのかどうか、そこまでわかりません

:原告鈴木さんの外出支援に関して、社会通念上適当でない外出というのは認定されたんですか
:ないと基本的には考えております

:被告はこの裁判で、総務省統計局の統計結果というものを32時間の根拠にしたんだということなんですが、移動介護要綱制定過程において、総務省の統計の結果というものを参照して作ったということで間違いないんですか
:これは、後から検証資料として収集したものだと思います。

:そうすると、裁判対策の理由として裁判上挙げられている理由に過ぎないということですね。実際上、移動介護要綱制定過程において参照された事実は一切ないということでよろしいんですか
:その中ではございませんでした。

以上



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